モロゾフというブランドをご存知だろうか
メインとしてはお菓子を展開しているブランドで、本店は神戸にある
焼き菓子やプリンであれば一度は食べたことがあるのではなかろうか。緑色のコーポレートカラーとMを意匠としたお菓子(プリン?)のマークのブランドである
お店自体は全国的に展開されているので生涯で全く接点がないということはほぼないだろう
そんなモロゾフには同ブランドのカフェがある。その名を「カフェモロゾフ」とそのままな喫茶店である
ここではプリンやコーヒー、サンドイッチなどが楽しめるのだが、それ以外にもワッフルが提供されているのである
公式サイトのワッフルのページ。ご覧のとおり正式名称はアーモンドワッフル
このワッフル、幼少期にかなり食べた記憶がある好物だった
というのも、出身の大分ではこのカフェモロゾフにアクセスしやすかったのである。具体的に言うと地方百貨店のトキハ(こう書いて『ときわ』と読む)本店とその大型ショッピングセンターのトキハわさだタウン(通称わったん)にあったのだ
思い出というものは変なタイミングで郷愁となって襲いかかってくるもので、ある日突然「あれが食べたい」となってから妙に食べたくなった。甘党でワッフルは昔から好物だったが今もかなり好物である
そんな中あのワッフルは本格的なワッフルの代表格として思い出に眠っていた。まさにワッフルが目覚めたのだ
こういってはなんだが、大分という土地は田舎である
その田舎であんなに簡単に食べることができるのだから、よその場所でも簡単に食べられるだろう、そう思っていた
そう、思っていたのである
上記リンクには店舗一覧が乗っているが、その中に関東のお店は一店もないのである。関東では食べられないのだ
これは政令指定都市すら持たない県の出身者で、かつ成人前後に関東関西その他大都市圏に拠点を移したものであればなんとなく共感してもらえると思うのだが、「あの田舎にあったものがこの大都会にないわけないだろう」という思い込みがある
そう、それは思い込みなのだ。関東ではカフェモロゾフのワッフルは食べられない
ちなみにだが、冒頭に述べた通りモロゾフの本店は神戸である
その影響か関西には割と店舗があるようである。だが関東にはない
神戸の本店では特別なワッフルが食べられたりする。だが関東にはそもそもお店がないのでスタンダードなアーモンドワッフルすら食べられない
食べたい、なら食べに行こう
どこへ?
ちょうどいい機会があったので故郷の大分に行くことにした
佐賀空港→博多(友人たちと飯)→小倉(一泊)→中津(墓参り)→大分(墓参り・一泊)
で大分2日目朝10時。トキハ開店
ホテルの朝食の鶏めしが美味しくて食べすぎて満腹感が少し残る腹6部ぐらいの感じで早速お店に
ワッフルも懐かしいがそもそも店舗も懐かしい。地方百貨店の構造などそうそう変わることもなく記憶を頼りにスムーズにお店に入ってワッフルを注文する
満腹感があったのと久々なのでサイズ感が思い出せずハーフサイズで注文
初めて入るお店の量の感じがわからないような錯覚。幼少期に食べていたのでどっちかというと想定より小さい可能性のほうが高い(カントリーマアム現象)のだが、ちょっとビビった。というか、覚えてないが最後に食べたのはまだ大分にいた高校生のときに食べていると思われるのでそんなにサイズ感の違いもないはずである
注文が来るまでなんとなく当時を懐かしんだりした。かつてはよく祖母に連れてこられていた
その祖母(祖父母)の墓参りも前日に済ませている。大人になると実家の墓がなんか妙に立派なことに気づいたりするのは、実家で出てくる食べ物が大人になると高級品ばっかりだったことに気づくような感じに近い
……あのお墓、今後自分たちの世代が管理するんだろうかと思うとちょっと気が重くなるが。そんな大人になってしまったがゆえの悩みを考えたりしていると運ばれてきた
このアーモンドワッフルである。生地にアーモンドが練り込まれているのがわかる。メープルシロップとバターのコントラストも最高だ
食べ物でこんなに懐かしい気持ちになれるのかと驚いた。まだ食べてないのに
ささっとバターを広げ大胆にナイフを入れる。いよいよ待ちに待ったときが来た
久しぶりの、それこそ10年以上ぶりのワッフルである
懐かしい一口から流れるように次から次へと口に運ばれていく
気がつけばあっさりなくなっていた
味は知っている味である。アーモンドの香ばしさ、サクッとした歯ごたえ、甘いメープルシロップにほんのり塩気をそそるバター。知っているが歳を重ねたせいか、思い出にあるシロップの甘さよりバターの塩気の方が印象に残った気がする。甘味には少量の塩が大事というが、なるほどこのワッフルの奥深さはそこに由来していたのかとは大人になってからわかった
しかし美味しかった。食べに来てよかったと思った
昔は一緒に紅茶を飲んでいたが、今はコーヒーで一服した。数少ない今と昔の注文の違いだ
正直ハーフサイズではなくホールサイズで食べたかったが、満腹なのでしょうがない。お残しは許されない
ちなみにとり天はデイリーポータルZで出てきてたお店である。大分に住んでたときは行ったことがなかったので気になっていた
ここの鶏天はたしかにめちゃくちゃ美味しかった。友人とどうやったらこんな綺麗に火が通せるのかという話になった
低温調理ならともかくカラッと揚げているので高温で短時間、ちょうどよく揚げているのだろう
約5時間後。15時。友人と別れてその後
東京に帰る前に父親を誘ってもう一回同じ店に来た。今度はホールだ。お昼にとり天をしっかり食べたのでそれなりの満腹感はあったもののサイズ感がわかっていたのでホールで行くことにした
ちなみに反対側には父親のワッフルもある。このワッフルは父親も好きなのだそうだ(こっちも甘党)
そして大分で食べられるのに東京で食べられないことに驚いていた
結果それなりの量を食べたが満足度はかなり高かった。というか完璧だった
ホールサイズでもサクッと行けてしまう。2回目なのに飽きも来ない
おやつにしては重いかもしれないが、それでもおやつで行けてしまう。なんと見事なワッフルなのだろう
かくして1日で1.5ホール分のワッフルを食べることができた
ものすごく残念なことに東京に戻ったらしばらくこのワッフルを食べることは叶わないだろう
正直また食べたい気持ちが現在進行系で湧いているのだがそこは我慢するしかない。子供のころ思っていた「大人になれば何でもできる」というものも思い込みだったということだ
かくして昔懐かしい喫茶店で思い出の味を堪能した
旅行の目的の1/3ぐらいが達成されて満足であった(残り1/3が墓参りでさらに残り1/3が友人たちとの食事)
目的の2/3が食べ物に関わってるのどうだろう。どうやら食べ物と乗り物が俺のノスタルジーポイントらしい
ちなみに父親はこのあと大分空港まで送ってもらった
以下おまけの旅行記
佐賀は通り道だったのでほぼ佐賀っぽい要素はなし。佐賀神宮にお参りしたぐらいか
佐賀神宮はかつての藩主を祀ってるタイプの神社。なので佐賀城跡のすぐそこにあった
道中太宰府で御神牛を撫でたりした。人が並んでないと思ったら次の瞬間めちゃくちゃ後ろに列ができてて御神牛は写真撮りそこねた
御神牛の頭を撫でると知恵を授かるというのが有名。あと体を撫でると自分の体の同じ場所が癒えるらしい。角を撫でたらどうなるんだろうって思って角を撫でたりした
小倉から中津まではソニックを使ったのだが、駅でのJR九州のアナウンスでとんでもないノスタルジーを感じた。今回の旅行の一番ノスタルジーを感じた瞬間だったかもしれない
あんまり人の故郷の思い出的な話に共感できてなかったのだが、たぶん人と違うところにそういう精神を持っているのだと思われる
JR 九州を ご利用いただき ありがとうございます
特急 ソニック 7号 大分行きは 7両編成です
止まります駅は 行橋 宇島 中津 柳ヶ浦 宇佐 杵築 別府 大分です
グリーン車は 1号車 前より 指定席は ...
このアナウンス(女性)だった。聞いた瞬間のノスタルジーがすごかった。こんなに懐かしいって感情が昂ぶることあるんだ
友人と別府までご飯を食べに行ったあと時間があったので十文字原の展望台まで行った途中に十文字原演習場付近を通ったら演習中のオスプレイに遭遇した
これが今回の旅行の一番の幸運イベントだったかもしれない
ちなみに祖父母の墓参りも済ませてきたのだがちょうどお彼岸だった
彼岸だから帰ったんじゃなくて帰ったら彼岸だったのどうかと思う。そういうタイプの孫ではなかったのでたぶん祖父母も驚いたのではなかろうか












