続き。かなり間が空いてしまった
そもそも論として、主人公は何をするのかという点から注目すると、何かしらの戦いに身を投じていくわけである
本の中では荒木先生が少年漫画をメインにしている事もあってバトル物の視点っぽいが、実際のところもっと広いジャンルでも話せるはず
例えば恋愛ならヒロインのライバルや鈍感な相手がここでいう「悪役」に該当するし、ミステリーなら犯人が、日常系なら主人公の生活に変化を与えるものが「悪役」に該当するのでは。日常系はちょっと強引か
ただいずれにしても、「こういう話にしよう」というアイデアだけでは話にならない。アイデアからストーリーを作っていくうえで主人公とは違うキーキャラクターとして悪役を考えるのが基本
悪役、というか主人公と対立する相手は当然だが主人公と何かしら対立している必要がある。それはそう。同じでは話にならない
例えばジョジョ Part1ではディオとジョナサンがお互いに光と影になるようになっている。共通点としては、主人公が成長し上り詰めるように、悪役も自分の道を進み続ける
これは荒木先生がジョジョのシリーズではほぼ全てやっていることで、自分の悪を肯定し、悩むこともなく、悪は悪で成長させている。故に激突が面白くなる。先生はジョジョ等を読んでいて暗い気持ちにならないのは悪も前向きだからだと自己分析している
なお悪役は当然倒される側なので、基本的に強ければ強いほど面白くなるし盛り上がる。それを超えるべく主人公の成長も描きやすくなる
最初は平凡な主人公が成長するきっかけや追い越すべき目標というシナリオギミックとしても悪役は重要である
一方で、対立するとしても拮抗させる必要はなく、例えばジョナサンが圧倒的なカリスマとかでディオと並ぶような強烈なキャラクターにする必要はない。平凡で普通な、いわゆる基準点としてのキャラクターも大事で、これを置かないと何が基準かわからなくなってしまう。そうなると悪役のあり方が「普通」になってしまうこともある
ディオの身辺調査書(再現)を見て読み解く
ここで、悪役のキャラメイクを再現した身辺調査書が入る。なお、再現であって連載時のものではないらしい。漫画を書き始め、キャラが立ち始めたらそっちを優先するからとのこと。なんというか資料としても残してないあたりが本当にキャラクターの取っ掛かりなのだということがわかる
まず解説部分で説明されているが、ディオの身なりは結構ジョナサンと対比させる意図がある。髪色を金色(ジョナサンは黒)にしたり、瞳の色をグリーンにしたり、支配的な性格、笑うとエクボと牙が出る(エクボは知らんかった……)、こういった情報から少しずつビジュアルが成り立っていく(つまりビジュアルを考える前にこういった設定を考える)
続いて解説では性格を埋めていった話に移る。性格は、要するにディオが寄生して乗っ取っていくパラサイトな側面をメインにしている。奪えるものを奪い、邪魔なものを排除し、その魔の手がジョナサンに移って戦いが始まる……とストーリーの骨格に触れている
ディオの性格が定まったあたりで「吸血鬼との戦い」という世界観ができたとのこと。これは当時のジャンプにダークファンタジー的な世界観の作品がなかったこと、テーマである「身に降りかかる先祖からの因縁」がうまく表現できるのではないか、と考えたとのこと
作品のテーマやストーリーがキャラクターの次に出てきているのは面白いなと思った。キャラクター中心だとこうなるのだろう
身辺調査書の内容に触れていくが、いくつかの設定の中には空欄もある。例えば生年月日や人種、宗教などの欄は埋まっていない。当初は設定されたが使わなかったので忘れたとかそういうたぐいかもしれない
おそらくだがプッチ神父とかは宗教の欄が埋まっているだろうし、何かしら人種が話の要素として使う場合埋まっていることが多いのだろう
あと趣味嗜好、特技などが再現だからかなり薄い。もうちょっとなにか書いてそうだよなぁと思った。とはいえこれは推測でしかないけど
父親を嫌っており、そんな父親と結婚した母親も軽蔑しているあたりは前にも触れていたが、そういった性格のあり方をうまくまとめていく必要があるのがわかる。また不老不死や時間の支配にも触れているのがスタンドにつながる要素としても見て取れる
この先は悪に対する作者の哲学の出方や、キャラクターの動かし方の話になっている(例えば嘘くさい行動やセリフは出さないようにするとか
さらにその後は他の悪役の設定と話の構造についてなどの話なので一旦省略
本については一旦このあたりで取りやめて、参考にしてオレオレ身辺調査書を作って真似してみたいと思う
身辺調査書を作ったら次の記事を書く
